ノベルティ商品「唐長・古今嵯峨米オリジナル風呂敷」商品開発ストーリー

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ノベルティ商品
「唐長・古今嵯峨米オリジナル風呂敷」
商品開発ストーリー

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景勝・小倉山を守る会では、2023年秋、嵯峨嵐山に本拠地を置く唐長様にご協力をいただき、景勝・小倉山を守る会特製の風呂敷を数量限定で作っていただきました。
この機会に、当景勝・小倉山を守る会で事務局運営をしている増永滋生と、風呂敷を手がけた唐長のトトアキヒコ氏にお話を伺いました。トトアキヒコ夫妻は、江戸時代から13代にわたる唐長を継承し、日本唯一続く唐紙の伝統と美をさまざまな形で現代に伝えておられます。

増永滋生、トトアキヒコ氏
まずは、景勝・小倉山を守る会の活動を改めて教えて頂けますか。
増永
景勝・小倉山を守る会は、万葉集でも詠われた小倉山の美しい自然景観を守るため、地元寺院や企業、市民、行政等が協働で森の維持管理活動を行っています。
嵯峨嵐山の魅力は森林だけでなく、竹林や水田も価値ある景観で、こういった環境を守るためにも私たちは活動をしています。
なぜ、トトさんはこの活動に関わることになったのですか。
トト
私にとって小倉山や水田風景など嵯峨は日々の散歩コースでして、ここ数年で山の景観が美しくなっていく様子を見てきましたし、稲穂たなびく季節にはトンボも飛び交っている景観を楽しんでいました。
景勝・小倉山を守る会の存在は知っていたのですが、2年程前に増永さんと出会ってお話を聞くようになって、水田の取り組みに興味を持ちました。
昨今では日本中で農薬や化成肥料を使ってきたことでトンボなどが少なくなり、水田の生物相が減少しているけど、嵯峨では有機に変える事で生き物が戻ってくる取り組みをしているとお聞きし、自分が見たトンボはそういうことだったのかと、自然に即した無農薬栽培や循環型の発想やその取り組みに共感し、何か私に出来る事がないかと思ったのがきっかけでした。
増永滋生、トトアキヒコ氏 唐長と古今嵯峨米
その水田の取組について詳しく聞かせてください。
増永
私たちの取組は水田だけ切り離してるのではなく、自然の循環を大事にして活動していまして、嵯峨嵐山の放置竹林の景観再生をしつつ、そこで伐採した竹をチップ化し発酵させた肥料として水田に戻し有機栽培を行っています。
また、竹の枝葉は動物園に運んで、象の餌に活用してもらっているんですが、その象糞堆肥をまた2次発酵させて肥料として水田に活用しています。景観を再生すると共に、生物が戻り、生態系を豊かにする取組なんです。

ちなみに、ここで穫れたお米(キヌヒカリ)には「古今嵯峨米」という名前を付けています。千年続いたこの嵯峨嵐山の景観を次世代に繋いでいくという想いから「古今」としました。
今回トトさんに作っていただいたのは、この古今嵯峨米を包む風呂敷ですね。
増永
地元の人々が新米の季節などにギフトで使って頂く時に、唐長さんの文様を使わせて頂きたいと思ったのが最初でした。しかし、紙などにすると捨てられるのが心苦しかったので、頂いた方が大切にして頂ける方法はありますかとトトさんにご相談したところ、風呂敷をご提案頂きました。
そして、出来上がってきたものがほんとに素敵なんです。景勝・小倉山を守る会の想いを、嵯峨から発信されている唐長さんの手で本当に美しく表現していただきました。
唐長型 増永滋生、トトアキヒコ氏
はい、本当に素敵ですね。トトさん、このデザインをどのように作られたのかを教えて頂けますか。
トト
古今嵯峨米の贈り物に使用するということもあり、水田、そして空の青を表現しました。この青色は当方で絵の具を調合し風呂敷屋さんに依頼し、オリジナルで染めた青色です。
まさに手仕事をベースにして作っていて、光により色の見え方が変わるんです。
コラボレーションを象徴する両者のロゴを仕上げに入れたのですがプリントではなく、より上質なものとする為、刺繍にしました。糸は銀糸を使っているのですが、お米、つまり銀シャリの光沢感を表現しています。
そして、この文様ですよね。
トト
これは「雲孫令和(つるのこれいわ)」という名前の文様なんですが、雲孫とは8代先の孫のことを言うんです。そんな概念が日本語にはあるんですよ。すごいですよね。
この「雲孫」という言葉・概念を文様にしようと思いまして、平成の終わりに始めた「平成の百文様プロジェクト」の一環で、江戸時代より唐長に代々伝わる「天平大雲」文様を継承する身として、私が未来へと伝える為に再構築した文様です。

雲は雨を降らす文様であり、実りと豊穣を意味しています。
雨で実りと豊かさを与え、そして雲となり循環する。吉祥の雲を丸紋へと変化させ、丸く円満な世界となることへの意味を込めています。そして、その思いと志は雲孫の代まで繋いでいくというね、守る会の取組にぴったりだと思い、この文様を選びました。
なるほど、文様の循環、景勝・小倉山を守る会の活動の循環。深い部分で共通するものがあるのですね。
ところで、先程仰られた「平成の百文様プロジェクト」とはどういうものなんですか?
トト
今は、「平成令和の百文様」と改名しているんですが、未来のために、今の時代の祈りや物語をこめた新しい百個の文様を100年後の京都に残そうという取組です。
私たちの伝える唐紙というもの、昔はもちろん使われていましたが、文明開化以後江戸の終わりに日本人が日本の文化を失ったり、捨ててしまう時代が来まして、その時に残念ながら唐紙の文化も失われたんです。
うちが一軒残るだけとなり、同時に唐紙を作る上で大事な板木を彫る人もいなくなってしまいました。うちも昔に彫られた600以上の板木は守り伝えてはいましたが、積極的に新しい板木を彫ることはなく。
板木とは木なので、やがて朽ちて失われる一方なんですね。で、平成の最後の年になって、「これで何もしなかったら、平成に時代を反映した板木が生まれなくなる。50年後、100年後の人たちが、この時代の物語を宿した文様がなければ唐紙文化だけでなく語ることすらできなくなる。自分がやるしかない。」と一念発起して、彫師を三顧の礼で迎え進めてきました。

しかし、唐長だけが自分だけで文様を考え、彫って百個では面白くないんですよ。
今の時代を生きてる人達とコラボして、平成・令和を生きている人間だからこそ出来る現代の空気を纏った文様を種として未来に遺したいんですよね。という訳で、まだ途中ですが、全体の6割くらいをいろいろな人たちとのコラボで生み出していく予定です。
唐長
百年後に残す、次世代に繋いでいくという考えもまさに景勝・小倉山を守る会と共通するものがあるんですね。どちらも大切な文化ですよね。
さて、最後に一言お願いできますか。
トト
僕は、嵯峨の文化的な価値を高めたいとずっと思っているんです。そもそも古来から歴代の天皇や貴族や文化人に愛されてきた地です。
観光地として栄えるということだけではなく、歴史や伝統があり、百人一首発祥や史跡、神社仏閣に美しい自然がたくさんあるということの文化的価値、そして、赤松の山が借景で存在していたことの文化的価値を再認識してほしいんです。だからこそ、景勝小倉山を守る会がやってる自然の風景を取り戻すという活動に賛同しているんですよね。文化的価値を高めるということは、人の心を美しくすることに繋がります。
人の心が荒んでいたら、文化は蔑ろにされ、自然は壊されてしまい木も簡単に伐られますから。
人の心の荒びを、僕は唐紙の美で改善し、守る会は森林や田んぼで改善しようとしている。多くの人に、本来、人間の心は美しいものを愛でるということに早く気付いてもらいたいですね。
増永
ありがとうございます。私どもは唐長さんのように何か特別できるという訳ではないのですが、今、私たちが活動しなければ、この価値ある景観が失われる、そういったことを理解し賛同頂いた方々と活動をしています。時代とともに価値や認識を変化していきますが、この景観だけは次の世代にも残したいと思い活動しています。
今回のコラボ商品をきっかけにして、色々な方々が共感して活動が活性化していくことを心より願っています。貴重なお時間をありがとうございました。

提携企業

唐長本店・雲母唐長
https://kirakaracho.jp/

寛永元年(1624年)に京都で創業。伝統的な襖や壁紙をはじめ、神社仏閣などの文化財修復に至るまで、江戸時代からおよそ400年間、唯一途絶えることなく続く唐紙屋として唐紙文化を守り伝えています。

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